2022年8月のブログ記事

  • 安住

    大人一人がすっぽりと埋まる砂の中の空間で必死になって地上を目指ざす自分がいる。掻いても掻いてもまた別の砂で埋まっていき、出口は決して姿を見せず、行手を塞ぐ。砂は脆さ儚さの象徴だと言われているが、僕には掻く砂が過ぎ去った記憶のような気がした。 「見て、採ったよ、カブトムシ。こっちにはクワガタもいる」... 続きをみる

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  • 健康ブーム

    フィットネス・スポーツジムがここ数年で激増した。健康に対する思考の変化なのか、これはビジネスになると見込んだ経営者の仕業なのかは分からないが、とにかく、ジムの施設が目立つ。それだけ金銭を支払ってまで身体を鍛える人が多いのだろう。ひょっとすると、鍛えることだけが目的ではないのかもしれない。ジム仲間な... 続きをみる

  • 秋葉原無差別殺傷事件についての空想アレンジ

    自分の存在を時々確かめないと風景・景色という空間とやらに自分が吸収されているのではないか、と思う時がある。人が1人亡くなることなど、その人自身にとってみれば一大事だが、世情として見れば瑣末な出来事にも満たないだろう。 存在しているという実感がまるで沸かない。では他者の存在を奪取することによって、自... 続きをみる

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  • この気持ち

    途中で帰ればよかった。いや、そもそも声をかけられた時に飲み会の誘いを断ればよかったのだ。僕(雄介)は、いつも優柔不断だから、険悪な雰囲気になった時には、雪崩のように歯止めを知らずに崩れ去る。 「雄介、久しぶりだな。元気にしてるか」 「あっ、義紀君。どうしたの?」 二人の関係は小学校の同級生という間... 続きをみる

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