幸せとは

 幸せでないから幸せなのかもしれない。

 空腹で今にも死に絶えそうな時、目の前に食べ物がたくさんあったら、無我夢中で食べて必死になって空腹を満たそうとする。満腹になってしまうと、もうそれ以上は食べられない。つまり、満腹は幸せの絶頂であって、後は下降するしかない。満腹になる前の段階では、幸せの絶頂期ではないが、もっと食べたい、言い換えるともっと幸せになりないと思うだろう。この段階が、本当の幸せなのかもしれない。

 その意味において幸せでないから幸せなのだと言えるだろう。幸せになってしまったら、それは不幸の始まりを告げる。満腹になってまた時間が経つと空腹になるのと同じことだ。