お腹が空いた。早く呼んでくれ

 今日は月に一度の心療内科に通う日だ。それでいま、クリニックの中にいるが、予約制だが、30分以上待っている。どうやら今日は、利用する人が多いらしい。仕方がないか。

 この時間が一番お腹が空く。早く終わって何か食べたい!空腹には人は敵わない。

行政書士試験まで約2カ月

 この時期は模試シーズンである。LECで開催される模試を受験している。全6回あるが、僕はその全てに申し込み、現在、3回が終わっている。

 自己採点した結果、記述なしでも合格ラインに達しているので、この事実は非常に喜ばしい。しかし、記述が思うように書けない。論点がずれていたり、書きこぼしがあったりで全体の約半分くらいしか取れない。記述の対策講座も取り入れているが、あまり効果は出ていないのだろうか?

 また、択一ではケアレスミスに注意したい。制限時間があるものの丁寧に文章を読んでいきたい。

 一般知識では、足切りを喰らうのではないかと心配だ。けれど、深みにはまり一般知識ばかりに時間を費やしてはいけないと思っている。あくまでメインは法令科目だから、それに注力したい。

 模試はあくまで模試。模試で合格点を取れていて安心しているようではまだまだだと思う。本番で合格点を取れてこそ意味があるので、それまで気を抜かず、しかし無理をせずに日々勉強に取り組んでいきたい。

夏の庭 3

 僕(木山)はなかなか、おじいさんの顔を覚えることが出来ない。もちろん道で会えば、すぐに分かる。でも、家に帰ってひとりになった時思い出そうとしても、なぜか輪郭のぼやけた粘土の人形みたいで、はっきり思い出すことが出来ないのだ。

 老人の家の玄関扉が開いた。僕らすばやく駐車してある車のかげに隠れると、尾行を開始した。どうせ行く先はいつものコンビニに、決まっている。

 だが、そのコンビニにおじいさんはいなかった。いつもの公園に向かったがそこにもいなかった。3人は少し焦った。

 3人はそれぞれ分担した3方面に分かれて百戦錬磨の機敏な諜報部員のように、散った。

 結局、日が暮れてもおじいさんは見つからなかった。ついでにおじいさんの家に寄ってみると既に戻っていた。中にはあかりが灯っていた。

 3人はおじいさんの尾行に夢中で塾に行くのを忘れていた。それでも、いい子ちゃんの木山はあと30分で終わりだというのに、塾に行こうと言いだした。

 1学期最後の土曜日。山下は店の手伝いがあるので、僕と河辺はふたりで夕方の張り込みを続けていた。

 後ろから誰かが呼びかけた。山下だ。ずっと走ってきたのだろう、汗だくだ。手伝いを抜け出して、刺身をくすねてきた。これをおじいさんに食べさせるのはどうだろう。おじいさんの食事は、僕たちが見張っている限りでは、コンビニの弁当と缶詰ばかりだ。

 山下は、おそるおそるブロック塀の切れ目から、玄関の前の端の欠けた敷石に手を伸ばして、そっと刺身が乗った皿を置いた。そして、玄関の扉をどんどん、とノックした。

 僕たちは近くのクルマのかげに隠れた。玄関の扉が開き、おじいさんがあたりを見回し、かがみ込み、立ち上がり、また扉を閉める。戻ってみると、皿はなかった。