民法 用益物権 地役権について

 


 物に対する全面的な支配権である「所有権」に対して、所有権を一時的または部分的に制限する物権を「制限物権」という。制限物権のうち、他人の土地を一定の目的のために利用することを目的とする物権を「用益物権」という。

 そもそも物権とは何かということについてはまた別の機会に投稿しようと思う。

 用益物権の中に地役権というものがある。設定行為で定められた目的に、従い、他人の土地(承役地)を自己の(要役地)の便益に供する権利をいう。

 その特質としては、付従性•随伴性、不可分性があるが、行政書士の過去問でよく出題されるのは不可分性である。この不可分性に関係する条文を下記に挙げる。

①要役地の各共有者は、自己の持分についてだけ地役権を消滅させることができない。承役地が共有である場合も同様である。

②共有地を要役地とする地役権に関し消滅時効が進行している場合に、共有者の1人につき時効の完成猶予•更新の事由が生じたときは、その完成猶予•更新は、共有者全員のために効力を生ずる。

③共有地を要役地とする地役権の取得時効の更新•猶予は、それらの共有者全員について生じないと、効力を有しない。

 これが全てではないが、主なものは以上である。②③で分かることは、地役権というものは共有者にとって消滅しにくく、また取得しやすいもとなっている。

 明日はこの続きで通行地役権に少し触れてみたいと思う。