民法 占有権

 行政書士過去問2015問45は条文知識をダイレクトに聞いてくる問題だ。受験者に考える余地を与えず、その条文を知っているか否かで正否が分かれる。

 占有者に所有の意思のない他主占有が、自主占有に変わる場合としては二つの場合が考えられる。

 他主占有とは、賃貸借なんかで、建物を借りて所有しているような場合を指し、自主占有とは、所有の意思をもって所有しているような場合を指す。

 民法の規定によると、一つは他主占有者が自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示した場合で、もう一つは、他主占有者が新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合に他主占有が自主占有に変わるとされている。民法第185条にその規定がある。

 占有が状態を表すのに対し、権原はその裏付けを表す。だから、権原があってはじめてこれは、「私の所有物です」と言うことが出来ることになる。これが所有権である。

 逆に占有しているだけでは、それが本当に自分のものかどうかは分からない。例えば、盗人が傘を盗んでそれを手元に持っていたとする。その傘は盗人の所有物ではないけれど、所有の意思をもって傘を占有していることになるから自主占有だと言える。

 先程、少し触れた他主占有では、人から借りて所有しているだけだから、所有の意思があるとはいえない。だから、自主占有ではなく、他主占有になる。