民法 通行地役権

 地役権の主なものに通行地役権というものがある。例えば、甲土地(要役地)から道路に出る等、乙土地(承役権)を通行するために乙土地の上に設定した地役権のことを指す。

 試験で出題されたことがある論点は、その時効取得と対抗力についてである。

 時効取得からみていくと、地役権は時効取得することも出来る。もっとも、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

 この「継続」の要件は、承役地に通路が開設されていることが必要であり、しかもその通路開設が要役地所有者によってなされたものであることが必要である。

 対抗力に関しては、通行地役権も物権であるから、それを第三者に対抗するには登記が必要である。

 登記の規定は民法177条にあるが詳しくは別の機会に説明しようと思う。

 もっとも、通行地役権は未登記のものが少なくないことから、通行地役権の負担がある承役地が譲渡された場合について、①承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、②譲受人がそのことを認識していたかまたは認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権の存在を知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張することについて正当な利益を有する第三者にあたらず、要役地の所有者は登記なくして通行地役権を対抗することができるとしている。

 つまり、この場合には、所有者は承役地を譲り受けた譲受人に対して登記なくして通行地役権を主張することができるということである。